産めない身体の、みにくい培養士から。

持病で子どもを産めない培養士の日々のこと。

・じぶんのこと その1・

三日坊主にならないように。

仕事を終えて、いつもの喫茶店の席に他の方が座られていたので、

今日は違う席で、この記事をしたためています。

 

昨日の記事にも書きました、

embry.hatenablog.com

 胚培養士もひとりの人間で、いろんな想いを抱えている、と。

その個人的な事情、ブログのタイトルにも通じるものがあります。

この部分を少しだけここに書いておこうと思います。

 

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【産めない身体の、みにくい培養士から。】

  • 産めないとは?

そこの話。

私は現在30代ですが、10代後半から20代初頭にかけて、抗がん剤を使用しています。

抗がん剤を使用しても妊よう力(※妊娠できる可能性)が残る場合も稀にありますが、ほとんどの場合、女性は妊娠できなくなります。男性もしかり、です。

抗がん剤は、がん細胞のみに作用するわけではなく、身体中のありとあらゆる細胞に影響を及ぼすため、赤ちゃんの素となる「卵子」も例外なく抗がん剤の影響を受けます。

抗がん剤を使用することで、生理不順、無月経などを引き起こし、治療後に、生理が戻ってきたとしても、無排卵月経の場合が殆どです。

そのために、近年では、将来的に妊娠したいという想いを持ちながら、ガンと闘病される方は、将来のために、「卵子凍結」「卵巣組織凍結」を抗がん剤治療前に提携病院で行う方も増えてきました。

私の場合、当時は培養士とは関係のない会社員として働いていましたが、ガン発覚後、たまたま通っていた病院の医師から、卵子凍結の話があり、1度だけ採卵をしたことがあります。その卵子は、今から5年前に、パートナーを喪った時に、廃棄する道を選びました。ちょうどその翌年に、縁があり、胚培養士になりました。

まだまだ培養士としてはひよっこです。

今は、別の病気のこともありますが、見た目上は、他の方と同じく、毎月月経がきています。排卵しているのかはわかりません。

そして、体の構造のこともあり、妊娠できても1度きりと言われておりました。

毎月の月経が来るたびに、苦い想いをします。

「じぶんの体はなにをもって月経が起きるのか」

 「なんのためにこの体は赤ちゃんのためのベッドを作っているのか」 

20代後半に、経血の量は減り更年期?、と思うこともありました。

今では、その減った経血も見慣れたものになりました。

それでも、前述の想いは消えないものです。

そして、患者様から月経の相談を受けた時でも胸がチクりと痛むこともあります。

もう覚悟して何年も経つというのに、です。

治療を受けられる、という土俵にすら自分は上がれないのだ、と。

人間的劣等感が付き纏うのです。

それでも、卵子精子、そして、妊娠に向けてのサポートをする日々。

抗がん剤により産めない体を持ちながら、赤ちゃんを望む人のために、じぶんの分もどうかこの受精卵が赤ちゃんになり、家族の幸せの鍵になりますように、と祈る毎日です。

抗がん剤だけが産めない要因というわけではないのですが、その話はもう少しここの記事が進んだころに書けたらと思います。

 

オチのない話でお恥ずかしいですが、これが、今の精一杯の文章です。

関西人の方にでも、話のオチのつけ方を習いたいです。

 

本日は、こんな雑誌を読んでいました。

冒頭は、シリア内戦、コンゴの飢餓の赤ちゃんの写真。

その後に出てくる、THE BABY MAKERSの話。

本当に苦しい並びですが、とてもいい雑誌でした。

英語ですが、よろしければお手に取ってみてください。

 

Newsweek [US] J 6 - 13 No. 1 2017 (単号)

Newsweek [US] J 6 - 13 No. 1 2017 (単号)

 

 

・ことばにすること・

2017年、 1月。

心の中にある言葉を綴る決意をしました。

 

ブログのタイトルにある、《培養士》という言葉。

同業者なら馴染みの言葉ですが、あまり聞きなれないものかと思います。

 

私の仕事は、『ヒトの受精卵を培養する(育てる)こと』

昨今、雑誌やTVでも目にする機会があるかもしれない、「不妊治療(赤ちゃんを望むご夫婦が妊娠に向けて産婦人科で治療を受けること)」の中の人。

医者でもなく、看護師でもなく、医療事務でもなく、看護助手でもない。

陰でこっそりひっそり、ヒトの細胞を扱っている中の人。

受精卵(胚)を育む(培養する)人⇨胚培養士という職業の人です。

 

その中の人があまり表立って言葉を発する機会はありません。

一部、有名な培養士ブログの方が何名かいらっしゃいます。

ざっくばらんに培養業務の日常を伝えていたり、病院の日常、安心して医療を受けていただけるように情報発信系が多いです。

私も非常に参考にさせていただくことも多いですし、とても勉強になります。

 

ただ、培養士だって、中身は一人の人間で。

患者様と接したり、治療とは全く関係のない人に職業を伝えた後の反応で思い悩んだり。

個人的なことで悩んだりもします。

 

そこから感じたこと(※あくまでも個人の意見です)

その感情を忘れたくなくて、言葉にしよう、とこちらでブログを書くことにしました。

誤解を招く言葉になる部分もあるかもしれませんが、ここに書く言葉は、個人の意見ですので、どうか、他の培養士も皆そう考えているのか、、、とは思わないでいただけたら幸いです。

 

タイトルにある言葉の意味は、次の記事で書いておこうと思います。

 

ー私は、ロボットなんかじゃない。

 

月が満ちる時、欠ける時に、

気持ちをリセットし業務に向き合う力を入れるために、定期的に読んでいる書籍をご紹介しておきます。

なにぶん、古いドキュメント本ですが、まだまだ現在も現役で働いていらっしゃる胚培養士の方の当時の姿を捉えることができます。

エンブリオロジスト-受精卵を育む人たち-

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